断熱を考える【性能向上リノベ】

断熱、実は快適と
健康を考えること

家族の健康を考えることは
快適な家づくりをすること。
快適な家づくりを考えることは
実は、断熱性能を考えることだったのです。

日本の家の3分の2は、夏暑く、冬寒い。

住宅ストック(約5,000万戸)の断熱性能
出典:国土交通省調査によるストックの性能別分布を基に、住宅土地統計調査による改修件数および事業者アンケートによる新築住宅の性能別戸数の推計を反映して算出(2019年度)

「省エネ」のために家を建てるという人は、ほとんどいないのではないでしょうか。でも住まい手1 万1 千人を対象に行われた住宅に関する不満調査のトップ3は…

1 位/暑い…28.0%
2 位/寒い…27.3%
3 位/結露…15.0%

と室内環境に関する不満が占めていました。
この結果から、ほとんどの方がまず真っ先に実現したいことは「冬暖かく結露せず、夏涼しい家」ということが読み取れます。実際、日本では国が断熱レベルの推奨値をもうけていますが、残念ながら無断熱・低断熱の家がほとんど。
夏暑く、冬寒い家が日本の家の3分の2を占めています。

断熱とは動かない空気の層をつくること

健康に過ごせる室温は?

出典:英国保健省年次報告書 2010.3

イギリスでは健康に過ごせる室温を21°Cとして推奨しており、18°Cまでが許容できる室温だとしています。
16°C未満になると呼吸器系の疾患に悪影響があり、12°C以下では、血圧や心臓・血管の疾患の危険が高まるとしています。
日本では最低室温が10°C以下になる家も珍しくはありませんが、イギリスの指標で見ると「低体温症を起こす」ほど危険な寒さなのです。

熱の出入りが最も多いのは「窓」

冬に流出する熱の割合は、アルミ窓(複層ガラス)から樹脂(Low-E 複層ガラス)に変えることで、52%から20%へ約6 割も削減できます。
家の性能は、効果の大きい窓の性能から考え始めましょう。

窓が低断熱な家は、夏暑くて冬寒い

【熱の流入出比率】解析No:00033

  • 使用ソフト : AE-Sim / Heat (建築の温熱環境シミュレーションプログラム ) / ( 株 ) 建築環境ソリューションズ
  • 気象データ :「 拡張アメダス気象データ」2010年版 標準年/(一社)日本建築学会
  • 住宅モデル:2階建て/延床面積120.08m²/開口部面積32.2m²(4 ~ 8地域)「2013年省エネル ギー基準に準拠した算定・判断の方法及び解説II 住宅」標準住戸のプラン
  • 躯体:2016年省エネルギー基準レベル相当
  • 窓種:アルミサッシ(複層ガラスA8未満)

健康は快適な
“室温” から

日本は断熱住宅の普及率が低く、夏暑く、冬寒い家が多くあります。冬は居間と脱衣室などのように住宅内での温度差が激しく、部屋を移動することによって起こる、急激な温度変化は血圧を上下させ、心臓や血管の疾患を引き起こすヒートショックの要因となります。
また、夏の熱中症の多くは実は屋外ではなく、暑すぎる住宅内で起こっています。
住宅に適切な断熱性をもたせることで、こうした事故を防ぐことができます。

お客さまの声

暖かい家に住むことで、こどもが風邪をひ きにくくなったと感じます。
身体の負担だけではなく、こどもが急に体調を崩して仕事やおでかけの予定が崩れてしまうストレスが減りました。
また、断熱・気密性が高まると、防音性 も高くなり、赤ちゃんの泣き声がお隣の方には全然聞こえないと言われました。気を遣わずに暮らせるのがとても嬉しいです。

健康被害は、断熱に関係あり?

家が寒いと体にさまざまな影響を及ぼします。血圧が上がったり、血行不良によりってコリや関節痛、神経痛を誘発することも。免疫力も低下するので、感染症などの病気にかかりやすくなってしまいます。また、肌の乾燥やかゆみを防ごうと加湿しても、空気中の水蒸気が窓に冷やされて結露に変わります。結露した水分が壁の中に侵入してカビが発生すると、アレルギーやぜんそくの原因になるので注意が必要です。

各種疾患の改善率と転居した受託の断熱性能との関係

出典:「これからのリノベーション 断熱・気密編」P27 近畿大学 岩前研究室

この表は右へ行くほど断熱性能がたかいことを表しています。脳血管疾患や心疾患のように、生死に関わることだけでなく、老若男女が日常的に経験する軽い疾患においても断熱性能が良い家に引っ越すと症状が改善する人の割合が増えていきます。
このように、年のうちで最も長い期間を占める冬の室温をいかに暖かくするかは、日常の健康から生死に至るまで多岐にわたって影響を与えます。断熱性能を高めて家を暖かくすることで、肌の乾燥を防ぎ血行も良くなります。皮膚のかゆみ、風邪、腰痛などの症状が軽減するという事例も多くあります。

燃費がいい家は快適

光熱費を払う?
それとも、断熱リノベーション代にする?

  • 断熱材が厚く、熱の出入りが少ないと燃費が良くなり、快適に暮らせます。家の場合、燃費はエネルギー消費量だけでなく、快適さの指標でもあるのです。
  • きちんと断熱された家は、冬の窓の前でも寒くありません。窓側に家具を置いたり、大きく開放的な空間もつくりやすくなるのです。
  • 例えば、吹き抜けがあり高天井の開放感ある空間と、古く味わい深い梁を生かしたデザインは断熱改修されたリノベーションならではの魅力です。

断熱グレードと家の燃費のはなし

家の燃費ってなんでしょうか?
クルマの燃費はみなさん気になると思いますが、家の燃費を気にしたことはありますか?
家は家全体で使用するエネルギーの1/3を暖房が占めるため、暖房に関する燃費は光熱費に直結します。
また冷房よりも暖房は10倍のコストがかかることは実はあまり知られていないかもしれません。

断熱性能と室温・冷暖房費の関係

建築の温熱環境シミュレーションプログラム(AE-Sim/Heat)・エネルギー消費性能計算プログラム(住宅版)Ver2.5.4によるシミュレーション結果。(省エネ基準地域区分:6地域)

このグラフは築45年の建物を断熱等級6にリノベーションした場合のシミュレーションの結果を表しています。
リノベーション前はリビング・ダイニングが8度まで下がっていますが、リノベーション後は16.4度に保たれる結果となりました。
また、右側のグラフの通り、冷暖房費もリノベーションの前後で約4割ほど削減できるのです。

冬、エアコンをより効率化するのが断熱住宅です

無断熱住宅の場合、畳数どおりのエアコンを設置しても、理想的な温度環境になるわけではなく、実際はホットカーペット、こたつ、ファンヒーター等との併用が必要になります。

協力:松尾設計室 UA値:YKK AP算出

電気料金に大きく影響を与える冷暖房費。
エアコンの燃費はここ50年間で大幅に向上しましたが、現在でも市場のエアコンの畳数設定は1964年の「無断熱住宅」想定で、定格の暖房能力や冷房能力自体は50年前と同じままです。
断熱性能の高い断熱等級6 (HEAT20 G2) レベルの断熱性能住宅なら暖房では実際の畳数の半分以下の畳数表示のエアコンで問題なく暖まり、冷房も西面窓の日射遮蔽を行えば畳数表示が数ランク小さいエアコンにすることが可能です。断熱性能が高い住宅ではランニングコストの冷暖房費だけでなく、エアコンのイニシャルコストも抑えることができるのです。

断熱・気密性能
どうやって判断するの?

家の断熱性能は外皮平均熱貫流率(UA値)で表され、値が少ないほど熱の漏れが少なく高断熱です。
建築物の各部位の面積と熱の通しやすさに基づいて計算されます。
気密性能は相当隙間面積(C値)で表され、値が小さいほど空気の出入りが少ない高気密となります。気密測定器により計測する必要があります。

熱の出入りをカットする

UA値:外皮平均熱貫流率[W/(㎡・K)]

UA値とは室内から床や外壁、開口部などを通過して室外に逃げる熱量を外皮全体で平均した値です。建築物の各部位の面積と熱の通しやすさに基づいて計算されます。
熱ロスが小さいほど室内が暖かく暖房費も安くなるので、断熱を強化してなるべくUA値を小さくすることが大切です。

断熱性能のグレード

日本の国は南北に長いので、国は8つの地域に区分して、寒さの度合いに応じて基準を設定しています。
1980年以前には基準も無かったため、夏暑く冬はとても寒い無断熱に近い状況の建物も多いのです。
そして、これまではこれらの基準は、義務ではなかったため、普及が遅れました。
ようやく2025年から断熱等級4が、新築住宅で義務化される予定ですが、この基準は20年以上昔につくられた基準のため、現在では高断熱とは言えません。
今後は、2022年10月に施行される予定の等級6と7のように、より高い断熱レベルを目指すことが求められます。

あなたの家が建てられた時の
基準と比べてみましょう

※HEAT20は、「一般社団法人20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会」の通称です。建築物省エネ法が求める断熱等級4より高いレベルの断熱性能を提示しています。

参考図書:「心地よい住まいの暖房計画」暮らし創造研究会

気温の低さに応じた地域分布

すきま風をカットする

C値:相当隙間積 [cm²/m²]

C値とは、計算床面積1㎡あたりの建物外皮の隙間の量を示す値です。C値が小さいほど隙間の面積が小さくなり、高気密になります。
隙間の程度は現場の施工精度によって決まるので、C値を知るには気密測定器により計測する必要があります。

断熱と気密の関係を熱画像で検証

室内側の壁内をあらわした模型を用意しました。左右に同じ断熱処理を行い、左側には気密処理を行わず、右側にだけに気密材を使用して気密処理をしています。
裏側から壁内(模型)に冷気を送り込み、断熱性能が発揮できているのか熱画像の色の変化をみて検証します。

冷気を送り込み検証

漏気により壁の中の空気が動いている状態では、断熱材による保温効果は得られません。いくら断熱材を厚くしても、意味を成さないということです。
断熱効果を発揮させるためにも「すきま」をなくすこと、すなわち「気密」が重要なのです。

断熱リノベーションを、日本でもあたりまえの選択肢に

性能向上リノベの会が策定する断熱基準は、世界と同等レベルで、快適で健康な暮らしを提案します。

性能向上リノベの会の策定基準と世界の適合義務化基準の比較

日本の2025年新築性能義務化基準と世界の適合義務化基準とでは大きな格差があります。性能向上リノベ住宅では、断熱ゴールドの数値を推奨し、可能な限り目指すべき性能値であると考えます。

『性能向上リノベの会とは』巻末参照

2014年度国土交通省委託調査:「海外における住宅・建築物の省エネルギー規制・基準等に関する委託調査」・とっとり健康省エネ住宅『NE-ST』資料よりYKK AP株式会社が作成

SDGsを実現して、持続可能な社会を

気候変動への具体的な対策として、断熱リノベーションによる省エネと耐震改修により中古住宅の活用を促進していくことが求められています。
また、目標とする限りあるエネルギーをクリーンに、住み続けられるまちづくりを、つくる責任とつかう責任を考え、持続可能な社会を実現していくために。

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